2017年10月29日

相続税を安くするための対策は準備が大切

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相続税には様々な節税対策がありますが、いずれも一長一短であり、被相続人や相続人になる人たちの事前の打ち合わせと準備が必要となります。例えば、最も手軽な方法は配偶者の税額軽減です。これは被相続人の配偶者が取得した遺産の額が、法定相続分または1億6000万円までの非課税となる制度ですが、その配偶者が亡くなった時に多くの遺産が残る事で、結果的に節税した税金より高い税金を支払うケースもあります。

また、収益不動産や土地など値上がりが予想される財産がある場合は、相続時精算課税を選択すれば節税となりますが、収益不動産などは気軽に生前贈与できるわけではありませんし、遺族の打ち合わせが不十分だと相続時に争いとなる可能性があり、何より一度選択すると変更する事はできません。

さらに小規模宅地等の特例は、宅地等の評価額を5割または8割(限度面積に限る)も軽減できますが、対象となる宅地等に該当するための要件は、事業継承や保有継続、法人役員の要件、あるいは相続により取得した者の要件などが細かく定められており、事前に確認や要件を満たす為の準備が必要となります。

つまり、相続税を安くする方法はあるものの、それが全ての人に有効となるわけではなく、被相続人や相続人、遺産の種類や価額などによって適切な方法を選択する必要があります。特に、相続税の申告期限までに手続きを行わなければ適用できない制度もありますので、それらを適用するために相続に関わる人たちと相談、打ち合わせをして、入念に準備しておく事が大切です。