2016年12月01日
基礎控除が改正され高齢者から次世代へ移動するお金
相続税の改正が昨年の1月に実施されて基礎控除が4割も縮小されたため申告の必要性の出るボーダーラインが下がりました。この改正により地価の高い大都市圏であれば従来レベルであれば相続が発生しても気にならなかった一般家庭でも申告する必要性のあることが影響となって表れてきました。この法律改正により納税対象者は改正前、亡くなった人の4%程度だったものが大幅に増えることになったわけです。
また、国内には個人金融資産が1700兆円以上もあり、その6割が高齢者の懐に入ったまま半ば冬眠状態になっていると言われています。更に、土地や建物を所有していなくても預貯金等、色々な金融資産に分散投資していたお金持ちの場合も相続税の課税対象になる人が増えたはずです。そこで、高齢者の中には相続税の課税対象から外れることや納税額を減らすことに懸命になっている人がいます。
多額のお金が社会にありながらお金を必要としている人にお金の回っていかない状態では経済の活性化が進まず、ひいては景気が低迷した状態を続けてしまうことになります。このため、国では従来から高齢者の資産を次の世代へ譲り渡して社会で資金循環が進むように制度改正を図っていますが、昨年の法律改正で高齢者が生存して元気なうちに所有する金融資産を移動しやすくする影響が大きく出ています。こうして、子供や孫へ贈与税のかからない限度まで住宅資金や教育資金を贈与したり、お金で所有するより土地や建物に換えて所有したほうが課税評価額の下がることを利用して賃貸住宅を建てる高齢者が増えているようです。